赤旗法

1865年のイギリスの「赤旗法」をご存じでしょうか?

この法律は産業革命を起こしたイギリスで、車が発明された当初、車の速度を制限するものでした。車は時速3kmを超えてはならず、車の55m前方で赤旗を持った人が歩いて案内しなければなりません。ちなみに、この赤旗法は31年間続きました。

ではなぜ、この法律が作られたのでしょうか?

新しい技術は常に既存の産業を脅かします。当時イギリス経済は馬車産業と鉄道産業が主流で、特に馬車は数百年間イギリスの交通の中心でした。つまり、数多くの仕事が関わっていて、もし車が普及してしまったら、これらすべての人々が仕事を失う危機感をもたらしました。なので、馬車産業は安全に配慮する名目で、法律を作って事業を守りました。一方で、フランスやドイツにはこのような規制はなく、目覚ましい発展を遂げました。世界で初めて蒸気機関を発明したイギリスが自動車競争で遅れをとるようになってしまいました。ついに、フランスやドイツの発展を見て1890年代になってようやくイギリスの中で危機感が広がり、法律が改定されました。

さて、皆さんはこの歴史的事象を聞いて、どう思いますか?

赤旗法によって、既得権益保護のための規制が大きな代償を払わせるかを表す歴史的事例の一つです。もちろん、新しい技術に対する規制が悪いわけではありません。むしろ、安全と公共の利益のための合理的な規制は必要です。しかし、赤旗法は公共安全ではなく既得権益保護が目的となってしまいました。

そこで、現代の赤旗は何でしょうか?

AI、自動運転、ドローンなど、今日でも新しい技術は既存産業の抵抗に直面します。私たちはイノベーションを受け入れるのでしょうか、それとも別の赤旗を作るのでしょうか?

そのときに、まさにここに学ぶ必要性、そして、なぜ探究が必要なのかを問いかけられていると思っています。

自分の人生、社会や世界をよりよくする活動をしようとしたら「世界に対する解像度」を上げ続けることと、そして、解像度を上げるために、例えば、歴史を学ぶことで「自分たちとは違う見方で、世界を見ている人たちがいる」ことを知り、学ぶべきだと山口周氏、深井龍之介氏が述べています。

私たちMOISでの学びにおいて、各教科、3Gプロジェクト、各種行事など、MOISの探究的な学びのすべてで、多様性の本質を理解できるチャンスがあります。校訓Grit Growth Globalを掲げ、スクールミッション「よりよい世界を築くことに貢献する地球人の育成」「学校生活のあらゆる機会を通して、未来の学力を備え国際的な視野を持つ生徒の育成」を実現できるように、これからもともに学んでいきましょう。

(8月全校集会校長講話より)

<参考文献>

●『人文知は武器になる』著者:山口周、深井龍之介 出版社:文藝春秋

●Unpacked History HP:https://unpackedhistory.com/jp

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